労働問題は「労働問題の事例と解決法」の労働審判の知識

「司法制度改革」の一環として

近年の長期的な不況の世相を反映し、日本では労働問題が各地で頻繁に起こり社会問題となりました。増加する労働問題に迅速に対処することを目的として制定されたのが「労働審判制度」で、当時の政府が推進していた「司法制度改革」の一環として2006年4月よりスタートしました。
労働問題においては、そのほとんどが雇用者側からの不当な処遇に異を唱える被雇用者側からの訴えによってなされます。労働問題の数が多くなると従来の法制度で対応しきれなくなり、民事裁判となると裁判開始から結審までの期間も長くなり、特に解雇によって職場をなくした労働者にとっては死活問題にならざるを得ないという現実がありました。
この点を改善し、できるだけ早急に問題を解決し、人々が再び安心して働ける環境を取り戻すために作られた制度といってよいでしょう。

官民の審判員が調停にあたる

労働審判の第一の特徴は審判にあたる担当者が官民で構成されていることでしょう。すなわち職業裁判官に加えて、民間の労働審判員が参加することで、社会人としての経験のある民間人の視点を審判結果に反映させようという意向が働いており、とかく弱い立場に置かれがちな被雇用者の意見に対し、最大限に耳を傾けるべきという趣旨によって制度運用がなされています。
つまり、労働審判制度は法の解釈を厳密に適用してどちらか一方を裁くためにあるのではなく、官民による審判員の調停によって、現実的な方策を提起し、できるだけ早く問題を解決して困窮している当事者に救いの手を差し伸べようというのが制度の最も重要な目的であるといえるでしょう。

最も成功した改革の実例

現実に、労働審判制度の運用が開始されて以後、制度によって扱われた案件の約8割は調停が成立するか審判の確定によって、民事訴訟に移行することなく審判が終了しています。すなわち、長くい期間を要し費用もかさむ民事訴訟が回避できたことで、それまでは大きな不利益に甘んじていた人々にとっては大きな改善であり、改革された司法制度の中でも、特に理想に近い成果が出ている進歩的な制度だといえます。
ここでは過去に扱われた案件の中から特に多い事例を中心に解説してみましょう。